玉木宏

2011年9月19日

写真集を贈りものとして捉えてみる——。
これまで自分の中でそういう発想はなかったので、考え方としてとても新鮮に感じますね。
写真集はウチにもたくさんあって、置き場所にも困るくらいですけど、
それらはどちらかといえば、自分ひとりで楽しむものだと認識していました。
展示でプリントを見るよりも、手元に置いてじっくり作品と向き合えるのが、写真集のいいところですからね。

とくに僕の場合は、自分が写真を撮るときのためのイメージの参考書として、
写真集を使っているところがあって。
たとえば、これまでは風景をよく撮っていたんですが、
これからは人物にもカメラを向けていきたいと思っていて、
このところは「人物を撮るにはどうしたらいいか」を研究したかったので、
エディ・スリマンをはじめとするファッション・フォトグラフの写真集をまとめて眺めてみたり。
このあいだは、「人と動物」をテーマに撮影する機会があったので、
事前にグレゴリー・コルベール『Ashes and snow』を見てみたりとか。

ぐっと集中して個人的にイメージと対峙するには、やっぱり写真集がいい。
でも言われてみれば、贈る・贈られるものとしても写真集は大いに活用できそう。
写真を撮ることは被写体や周囲とのコミュニケーションという側面があるけれど、
同じように写真集も優れたコミュニケーション・ツールになり得るものだと思います。

比較的だれにでも受け入れてもらえるのは、やっぱり風景や動物を扱った写真集ということになるでしょうか。
僕も以前、星野道夫さんの作品集を贈っていただいたことがあって、
ページをめくりながら温かい気持ちになったのを思い出します。

相手のことを考えてあれかこれかと書店の書棚で本を選ぶ時間も、また楽しいものなのだと思いますね。
ただ、写真集は内容も体裁もあらゆる種類があるだけに、
贈る相手のことをちゃんと知っていないと、なかなか「これ!」という一冊を選べないかも。
どんなプレゼントをするときでも同じなのかもしれませんが、
写真集を使うときはとくに、相手の生活スタイルや考え方、趣味嗜好をつかんでいないと、
迷ってしまって収拾がつかないことになりそう。
まあ、相手のことをちゃんと知っていないと選べないのだったら、
写真集を贈るために、よりよく相手のことを知ろうとすればいい。
写真集選びが、その人とのコミュニケーションを深めるきっかけになれば何よりです。

僕自身、20代で写真を始めて以来、どんどんのめり込んでいきました。
撮影をしたり、人の作品を見たりしていると、写真ってどこまでも奥が深いものだといつも実感します。
写真集をあいだに挟んで人と向き合ったりつながったりすると、
何かとても大事なものを共有できているような気がします。
写真集が取り持つ人と人との関係というものが広がっていくとすてきですね。


たまき・ひろし
俳優として、またミュージシャンとして幅広く活動中。
カメラマンとしても2011年中に展示の機会が。
http://www.tamakihiroshi.com/

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